エドワード・サイード。彼はサイードというアラブ系の名前に、エドワードというイギリス風の名前を付けられた。しかし正真正銘、彼はパレスチナ人である。パレスチナ人でありながら、エジプト・アメリカに移り住み、コロンビア大学の教授になった。言語を話す際も、アラビア語と英語のどちらが自分の言語なのか悩んだ。
       
彼の有名な著作「オリエンタリズム」は、私達ゼミ生の文化に対する見方を再認識させるものであった。「オリエンタリズム」とはどういう意味か。西洋の比較対象とし東洋が挙げられ、東洋に後進性や受動性といった非ヨーロッパ的イメージを押し付ける、西洋の自己中心的な思考様式である。つまり、西洋人の視点によって創り上げられた言葉である。
           
私達は「アイデンティティ」について考えさせられた。私達は一般的に日本人としてのアイデンティティを考えるが、彼の場合はパレスチナ人としてのアイデンティティ・アメリカ人としてのアイデンティティなど多々存在する。その際、自分がどの視点から考えるのかで見方も異なってくる。自分の考え方の座標軸をしっかりもたなければ、比較をする際同じ面から比較できない。「オリエンタリズム」のように、自分中心的に物事を考えるのは危険であるとも実感した。必ずしも、自分達が属する所が正しいとは限らないし、一方方向的な比較に過ぎないからである。今後日欧を比較する上で、自分は一体どの視点に立って物事を考えるのか、明確にしていきたい。

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