調査の概要と目的

 調査の概要

調査日時 2003年8月〜2005年12月
調査対象 日本、イタリア、中国、台湾、韓国、エジプト、米国(ハワイ)、ブラジル、英国の大学生。
データ集計の際は、18〜29歳の回答のみを対象。
調査言語 日本語での調査の他、イタリア、中国、台湾、韓国、米国、ブラジル、英国では、母語での調査も実施。
調査票 〈日本語版〉A5版30ページ(及びフェイスシート)からなり、1つのページには1つの単語(以下、刺激語と呼ぶ)とそれに対する3つの回答欄を用意。外国人回答者の調査票は、刺激語の漢字に読み方のルビ付き。〈母語版〉日本語版と同様の形式で、刺激語は日本語を翻訳したもの。
ただし、イタリア語調査では、翻訳不可能であった3語(「神」「富士山」「酒」)を除き27語での調査。
ポルトガル語(ブラジル)調査では3語(「神」「富士山」「酒」)を除き、豆系の野菜を意味するlegumeを加えた28語での調査。
調査方法 1つの刺激語に対して、日本人回答者では15秒、外国人回答者の日本語調査では20秒、母語調査では15秒を回答時間とし、刺激語を見てすぐに頭に浮かんできたことばを書いてもらう。時間は調査担当者が計測し、時間が来たら次の単語に進んでもらうよう指示。1つの刺激語についての回答記入欄は3つだが、頭に浮かぶものがなければ1つでも2つでもよいとし、逆に4つ5つと回答してもらうことも可とした。
ただし、頭に浮かんだことばをもとにさらに連想を進めることがないよう、常に刺激語から出発するように指示。
また、外国人回答者の日本語調査では、連想を日本語で産出できない場合には、母語での記述も認めた
なお、フェイスシートには、データを目的に沿う形で利用していいかどうか回答者に許可を求める項目を設けており、ここで分析しているのはその同意が得られた回答者のデータであることを付記します。
★現在掲載しているデータは、英国調査結果を除き、調査票の第1番目に書かれた第1連想に限って集計したものです。
英国調査は調査数が少ないため、第3連想語まで集計してあります。
★★各国母語調査の「玄関」は、調査実施後に研究会内で再度検討、議論した結果、イタリア語、中国語(中国大陸)、台湾華語(台湾)、英語(米国)、ポルトガル語(ブラジル)調査で、相当翻訳語が、日本語の「玄関」の指示と同一であるとは言い難いという結論に至りましたので、5地域の調査結果から、「玄関」の母語調査データは削除してあります。(英国については未検討。)また、母語調査の「酒」についても、同様の理由で、英語(米国)母語調査結果から削除してあります。

 調査の目的

この調査の目的は、文化の違いがことばの意味の認知と理解にどのような影響を及ぼすか、を調べることです。そのために、日本語を母語とする人と日本語を外国語として勉強している日本語学習者の言葉の連想に関して、その相違点と共通点を探索しています。日本語を外国語として勉強している世界の国々の大学生とを比較して、連想にどのような差があるかを調べてみて、文化的背景の違いが言葉の意味の理解や認知にどのような影響を及ぼしているのかを考えようとするものです。
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